2013/10/12-17 放浪と吸収と出力。

卒業後、毎年応募していた西会津国際芸術村公募展にて3度目の今年、
大賞を頂きまして福島に足を運びました。関係者の皆さんにもお会い出来ました事、学生部門の大賞受賞者も地元高校2年生で、
同じ名前の「沙織さん」だったり、名誉な事で大変嬉しかったです。早朝に
富山を出発して新潟経由で西会津入り、授賞式と懇親会のあとは東京経由で六本木クロッシングを走り見てから、車中泊
京都、岡山経由で犬島上陸!!村林さんや大山さんと犬島を巡り、当日券をゲットして維新派の犬島野外公演を皆で堪能。

翌日は直島巡りをしミラクルなツアーに合流出来ていい出会いがあり、更に翌日の丸亀にて猪熊弦一郎現代美術館のドローイングは企画展の大竹さんのドローイングも含め、秀逸で素晴らしいものを拝見出来ました。更に次の日の、小豆島は
坂手で地元の観光局の方に拾ってもらい充実した時間を過ごせ、中でも
クマグスクという、観音寺宿坊を改装し滞在型のアートスペースを期間限定で
オープンされてるプロジェクトで
浴室だった部分を展示室にした土屋信子さんの展覧会は、建築、展示共々感動し、案内されなかったら絶対に辿り着けなかったものだった点も含め心に響いたのもつかの間。その日の夜、

翌日に兵庫県立美術館橋本関雪展に寄ろうかと経由地に選んだ姫路で、たまたま飛び入りで泊まったゲストハウス「縁楽堂」で
ひょんな事にお風呂場にペイントを施す事に。。。ただの宿泊客だったはずが吃驚な展開でしたが、夜通しでの作業になると分かって
しかも、ついさっき小豆島で拝見した洗練されたお風呂場展示が嫌でも思い出されて敵うはずも無いけれども、
睡眠時間返上でしかしやれるだろうと、そして、そこで働いているモモさんの事も気に入ったので、決定!
お題は金魚、海のイメージでゆるく、可愛らしく という事で、
最近姪と見ているニモ、ポニョの海、
今回の移動で見てきた新潟、福島、犬島の維新派の海、直島、小豆島の瀬戸内の海、嵐、凪、最後に姫路の海を、全部全部混ぜ込んで全て姫路の地で、
与えられたお風呂場の四方に吐き出してきました。

12時ー1時にラフスケッチ、
1時ー6時制作。完成。
強行突端なお風呂ペイントでしたし、材料も整わないまま、
絵の具は、以前使用された残りの水色と黒、白、茶の4色の油性ペンキ。
道具も割り箸、スポンジ、綿棒、‥その場にあるものを駆使し
途中から発見された赤と紫、緑のアクリルも使って何とか完成。

油性ペンキという事で、、おっと思い、久方ぶりに油を触りました。
その感覚を思い出すのも始め時間が要りましたが、
緊張すると気の緩んだ絵にはならないので、肩の力を抜いて、
出来うる限り、そこで過ごすだろうお客さん達が快適に使える様に、
出来うる範囲で手を尽くしました。
朝になって、片付けや補修をしつつ、
時間もないので午後には失礼しましたが、

リラックスして、快適なお風呂を楽しんでもらえると描いた甲斐があるので、嬉しいなと思います。

都合に寄り、1面は簾に覆われていますが、
宿泊しなくても、お風呂場だけでも見せて頂ける様ですから、
気になる方、お近くに行かれた際は、ぜひ覗いてみて下さい。








床の間アートコンペ/2013

先日、佐賀県にある素敵な温泉宿「古湯温泉 ONCRI」で行われた
第二回床の間アートコンペに参加しました公開審査の模様と、
優秀賞を頂いた縁で現在も展示して頂いてる作品とその室内の様子を一部公開します。

コンペ前日から滞在し、
審査のお部屋で作品と寝食を共にし、部屋中に自分の触手を満たしてから
翌日はその部屋でプレゼン。
昼の顔と夜の顔が全然違う事を前日に自ら体験しているので、
そのことも交えてお話しさせて頂いたり、入り口から室内に入ってくると自然光により
箔がきらめいて見えたりする面白さを見つけて、左右上下の自在な作品の据え方を決めた話等
をさせてもらいました。窓辺から見える山の緑も大きく作用しました。
床の間には自分の絵画。更に、 畳とお香の匂いが心地よく混ざる和室で来客をお迎えしお話しする
というシチュエーションは、学部3回生のとき大山崎山荘美術館で開催したお茶会を
思い出させました。
審査員の方々も、正座をしてプレゼンテーションを聞いて下さるなど、、
閉ざされ守られた小さな集まりである 大学院時代のゼミの中にいる様な始終
とっても温かな様子なのが大変嬉しく、
その上、褒めてばかり頂けるので慣れない私は、
申し訳ないのとほっとするので、
気を緩めてしまいそうになりましたが、スピーチに、交流に、見送りに 最後まで
全力でその日を乗り切りました。
なによりも大学院時代の恩師名和晃平先生に3年ぶりに作品を見てもらえて、
「今まで見た中で一番良い」とおっしゃってもらえた事はとても誇らしく
嬉しい出来事でした。
名和先生のところで学んだ事を生かしこうした絵が
生まれ、作っていた事をようやっと作品を直に見てもらって報告できましたし、
そのおかげなんだ、という事がずーっと言いたかったんですけど、
なかなか機会に恵まれず、しかし今回のコンペは最高の機会となりました。

二泊目も
高揚が続いてなかなか眠れませんでしたが作品を背にしつ、 向き合いつ
身体をゆっくり休めて、何度も湯に浸かり 自宅に戻ってからもお肌つるつる。
こんなコンペなかなか無いと思います。

「行って良かった。」と、思える良い体験を数々させてもらいました。また挑戦したいです。

是非、 ONCRIさんのスイートルームに泊まってゆるりと
作品を堪能頂き、温泉で日頃の疲れを癒していかれて下さい。。





作品タイトル_ 静座/sit me quietly

5/11、My birthday

5/11、
28歳、数え年で30歳を迎えました。誕生日は、大好きな人たちを訪問し好意と細やかな贈り物を届けたいと関西に滞在していました。

ずっと見たかった狩野山雪/山楽筆天球院朝顔図襖、Re、framing展 横内賢太郎さんのサテン布を染料で染めた絵画作品、名和晃平さんの横位置のダイレクション、が特に心動かされ良質のアートに洗練される心地良い時間でした。気がつくと深江橋のgardenから連れてきていた小さな子どもナメクジを見失わないように電車の中で見守りつつ、無事本町の緑地まで届ける出会いもありました。小さい命は何であっても愛おしいものですね。それから、
お世話になっている先生に初めてサインを貰い、友人知人に囲まれ、黒猫の騎士と共に目覚め、黒猫と灰色猫の2匹の騎士と眠る刺激的で長閑な、幸福な一日でもありました。


沙織という名前は、細やかな織物が縦に横に織り成すように様々な人と関わりを持ち、彩なしていける様にと、もらった名前です。

「私も関わらないから貴方も関わらないでください」と言う様式でこれまで強がって歩んできたところが強い私ですが、
素直に温情を受け容れられる様に変化してきました。それは、
知り合ってよくして頂く皆さんからの影響に拠るところが大きいと思います。

温かい声援頂いた皆様、ありがとうございます。その温情を少しでも生かし返していけるように、今年は更に
自然の渦の中にダイブしては人の渦の中に帰り来て、その往来の中で自分を研磨して行こうと思っています。抽象的な物言いですが、具体的に計画中のものを自分にできる範囲で一つずつ実行に移して行こうと思いますのでまた報告いたします。
不束者ですが、強く逞しく、
時折は弱いところも隠さず見せられる様な、正直さで生きて行こうと思います。一層の精進を重ねて行きますので、どうぞこれからも私とお付き合いをよろしくお願い致します。
どうぞ私のアトリエ、展覧会にも遊びにきてください。
私も、何処へなりと駆けつけます。

より甘美に、
より清廉に。

沙織 2013年5月14日

布がそよぐ様な生き方。

薄っぺらい一枚布でも、ひらりひらりと、社会の裾のの何処かに引っかかって好きなことやれるなら、何処にひっかかろうが、いいですね。

先日オデッサの階段に出演されてらした平山素子さんが「ダンサーは自身に向いていると感じられますか」という問いの答えに、「ダンスが好きだから私はダンサーなのではなく、向いているからダンサーなのだと思っています」と強く断言していらしたのが、
印象的で共感出来るところがあります。
またもう一つ、は、
いつ頃からプロになりましたかと聞かれれば、プロになろうと思ったことはなく、気づくとプロになっていたというのが正確な表現でして、と。

言葉には随所に女性らしい潔さを感じられ、非常に正直な人のように感じた。

いつ、サパっと開くか分からないその口に、赤かろうが黒かろうが滑り込んで行くしかないのだろう。

小旅行_大阪→京都→横浜→千葉→東京

ちょこっと、展覧会を見つ友人に会いつ、旅行してきました。

一日目は早朝大阪に着いて開館を待ってから阪急梅田の「TRANS」展を見、京都に移って、「アブストラと12人の芸術家」では思いがけず管さんと田中さんとお話できて嬉しかったです。夕食は武川でアンチョビとキャベツのパスタ。

二日目はPARCの「円の手ざわりはつるつるかざらざらか」Aubeの「ULTRA AWARD COLOSSEUM」。また、今年生まれた、同級生の赤ちゃんに初めて対面してきました。夕食は万の花で授業後の村林さんに捕まってもらって、ご飯。

三日目は横浜に移って、馬の博物館の「スーホと白い馬」。展示物の表記に現代とある違和感。現代のどこかで当たり前に使われている日用品が博物館に並んでいてそれを見つめるって不思議です。千葉に移って大山さんと待ち合わせてDIC川村記念美術館の「中西夏之」展。千葉市美術館の「須田悦弘」展のあと東京へいきSCAI THE BATHHOUSEの「大庭大介」展で、締め。夕食は上野でタイ料理を食べ、早めのクリスマスケーキまで一緒しました。初来館の美術館と豊かなお庭に充実した時間でした。その時々に出会った景色、結局展覧会を見てても気になるのはその周囲の自然だったり、人だったりするんです。


出逢った事のないものに出逢う事が私の仕事です。

絵かきの描く絵は風景を描くのも、人を描くのも本物よりももっともらしく画面の上で再構築することで、絵画になります。至極計算されたものです。

私は、しかし、事物を画面に起こす再構築よりも画面の上で起こるエレメントの響き合い(再構築)に興味があります。
人が加工しやすい様に人の手で分解され原型を無くした素地(エレメント)。
木で出来たパネルに、岩を砕いた天然の岩絵の具、それらを加工したはずの人の手、
それらが偶然、私の手元に運ばれて来て、重なり合い、混ざり合う事に関心があります。
出会ったことの無いものに会うのが楽しいのです。元の姿を想像しつつ、そこに残る痕跡をたどり何処までが自然に形成されて、何処までが自分で施した行為か分からない状態を作り出すこと。

形をなくしたものがまた原型とは異なる形を帯び変換されて行く様を見つめる時間が、至福だと思います。
もっと知った形を損なう必要がありますね。

知っている姿、名前でそのものを捉えない、何も知らない子供のように、一瞬一瞬を煌めいて見つめられるような作品を、
作りたいなー。

私が一番。