出逢った事のないものに出逢う事が私の仕事です。

絵かきの描く絵は風景を描くのも、人を描くのも本物よりももっともらしく画面の上で再構築することで、絵画になります。至極計算されたものです。

私は、しかし、事物を画面に起こす再構築よりも画面の上で起こるエレメントの響き合い(再構築)に興味があります。
人が加工しやすい様に人の手で分解され原型を無くした素地(エレメント)。
木で出来たパネルに、岩を砕いた天然の岩絵の具、それらを加工したはずの人の手、
それらが偶然、私の手元に運ばれて来て、重なり合い、混ざり合う事に関心があります。
出会ったことの無いものに会うのが楽しいのです。元の姿を想像しつつ、そこに残る痕跡をたどり何処までが自然に形成されて、何処までが自分で施した行為か分からない状態を作り出すこと。

形をなくしたものがまた原型とは異なる形を帯び変換されて行く様を見つめる時間が、至福だと思います。
もっと知った形を損なう必要がありますね。

知っている姿、名前でそのものを捉えない、何も知らない子供のように、一瞬一瞬を煌めいて見つめられるような作品を、
作りたいなー。

私が一番。